幸運な人生について ⑩

いい加減に生きる。
意外だと思われるだろうか。

これもまた、自分を大切にした生き方だと脳科学者の中野信子氏は言っている。

いい加減の反対は、「まじめ」。
だが、ここでもう少し、いい加減のよさを考えてみた。

たとえば会社の残業を例にして考えてみると、
いつも残業をしてコツコツ働きつづけている人は、ある意味まじめな人といえる。
一方、いい加減な人は、自分の仕事が終わるとまわりを気にせずに、さっさと帰って彼女と飲みに行くなどしてしまう。

会社という枠の中では、まじめな人のほうが好かれる場合が多いだろう。
しかし、社員という枠を超えたところでみるとどうどうだろう。

まじめな人のなかには、「上司や同僚が残っているから自分だけ帰るのは悪い」という理由で残業をしている人もいる。
一見「まじめな人」だが、会社によって、長く働いている社員のほうが優秀という考え方の価値観にとらわれて自分の価値観を見失っているようにも思える。
自分で自分を殺してしまっている。
自分自身を「殺して」しまっている人は、他人からも「殺されて」しまうことも多い。
ブラック企業などで無意味にこき使われてしまう根本原因となる。

一方、いい加減な人は、会社の価値観とズレている部分もあるかもしれないが、自分の価値観で行動している。
自分のやりたいことももっている。
自分で自分を「殺して」いないから、他人からも「殺され」ないのだ。